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二度目の失踪の顛末

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■ひどく疲れた。ようやく我が家の風呂で、シャワーを浴びて、汗を洗い落とす。
■歯を磨いているところへ電話。こんな時刻に間違い電話とは迷惑。無視していたら、またかかってきた。
■世田谷警察署から。父が保護されていることが確認できたので、引き取りにこいという。えー、これから?時計を見ると、午前1時10分。
■仕事に出かけたきり帰ってこないと実家の母から連絡を受けたのが、二日前の晩。捜索願を出そうとしたら、夜中にひょっこり帰ってきた去年の出来事を思い出す。
■居なくなってから丸一日が経過。実家から会社に出かける前に、110番に電話。受付の男性に事情を説明。
■しばらくすると地元の交番からお巡りさんが来た。前回と同様、改めて調書を記していた。
■退社後、再び実家に出かける。駅から、団地まで歩いて、一汗。暑い夏だ。ここでシャワーを浴びたいところだが、今夜はこれから一仕事、そういう気持ちになれない。着替えただけで、19時に団地を出る。
■警察に行く前に、父が昨日出かけたという仕事場を訪ねる。あの道を歩くのは、30年ぶり。自転車は置いていない。鍵がかかっており、家の中には入れない。横にある倉庫には入ることができたが、全く人気がない。
■タクシーを拾い、城東警察に向かう。実に細かいことを尋ねられた。本人の本籍、血液型、失踪時の所持品(例えばカバンの色とか中身、財布の形、およその金額、腕時計の外形)、親類の年とか電話番号などは、どうにも答えられない。
■警察署をあとにしたのが21時過ぎ。いったん実家に戻り、鞄を持って、自宅へ。
■風呂から出て寝るばかりの妻に、事情を話し、同行を頼む。世田谷警察の番地を地図で調べてもらう。午前1時55分、妻と二人で、世田谷に向けて出発。
■3時頃、世田谷警察の駐車場に車を止める。
■ドアを開けると、汚い乞食のようなおじいさんが一人。お巡りさんもさすがにばっちいと思ったのか、ソファにシーツを載せて、その上に父を座らせている。
■疲れ果てて歩道に座っていた父を近くの人が見かけて、警察に届け出たそうだ。
■父の自転車を持ち帰る必要がある。しかしどう運ぶか困った。妻はコンビニで頼むことができるはずだと言うが、できないとわかって、戻ってきた。何とか車に詰め込もうと、後部座席とかトランクルームとか試すが、断念。またもや汗みどろ。
■妻が車で父を運び、しょうがない私は自転車に乗って帰ることにする。
■3時39分、自転車で出発。ここら辺の地理に鈍い私だから、もちろん地図を持った。ひたすら246号線に沿って皇居を目指す。あちこち交差点で、自転車の道がいつの間に消えてしまい、ずいぶんと遠く迂回する羽目になる。
■いつの間にか夜が白々と明け始める。新聞配達のお兄さんとか、配送の車が目につき始める。青山通りを抜け、三宅坂を降りる。夜明けの皇居を目の前に、一心不乱にひたすら自転車をこぎ続ける中年の男。
■5時18分、ようやく江東区の団地駐車場に到着。疲れた。それにしても満で95歳の父が自転車でどうやってあそこまでたどり着いたのか。
■このことがあって以来、父から自転車を取り上げた。鍵を預かる、ごめんよ。

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