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幾万のペットに幾万の里親あれど

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■「あいつは、図体はでかいのに、気は小さいんだよ、最近近所のちっちゃな犬に追っかけられてね」アメリカ人の友人はそんなふうに、会話するたびに、70キロはある犬に悪態をつくのが常だった。それが愛情の表現であったことは、死を知らせる彼の文面の行間にあふれていた。
■去年暮れに送った新年カードに、今度は我が家からペットの死を知らせることになった。年頭のおめでたい挨拶ではなく、そんな知らせは野暮だ。でも彼ならそんな無礼を許してくれるだろう。
■「幾万のペットに幾万の里親あれど 我が里親 富士より高きなり」立て看板があり、この共同墓地に埋葬されたペットの名前がずらりと記されている。その左側にこの文章が筆で書いてある。
■「ティナ」が我が家に来た頃は、元気にあふれたお転婆娘。当時居た「エル」と二匹散歩に連れ出すと、一方的に先にどんどん進もうとする。ドッグフードを見つけると、「エル」を後ろから押し抜けて食べようとする。娘がつけた愛称が「ティナブースケ」、レディに対して失礼な。
■15歳になると、さすがに衰えが。両方の目とも濁りだした。腫瘍のために少し臭うようになってきた。名前を呼んでも、すぐに反応しなくなってきた。きちんとしつけてきたのに、部屋の中で漏らす。その日が近いかもしれないことは家族誰もが感づいていたと思う。
■その前日、妻は近くの動物病院で診てもらったばかり。年相当でしょうがないが、内蔵はしっかりしていると言わればかり。
■「その日」は妙に食欲がなく、おかしいなと妻も気がかりだったという。
■茅ヶ崎市内に、白峰寺というペット専門の共同墓地がある。手続きを済ませたあと、ティナを手渡す。So long!


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